2025年、シマノから待望の追加モデルが登場した。
23 ワールドシャウラ リミテッド 1631FF-3は、2024年のワールドシャウラリミテッド総選挙で惜しくも当選を逃したものの、多くのアングラーから熱い支持を受けた人気番手である。
この記事では、ベイトフィネスロッドの元祖とも言える1631FF-3の魅力を徹底解説する。
なぜ1631FF-3が注目されるのか?
1631FF-3は単なる新製品ではない。
その歴史はスコーピオンXT 1621FFまで遡る。軽めのシャッドやミノーを駆使できる操作性と、デカバスと渡り合うパワーを両立させるベイトロッドとして誕生したのが、まさにベイトフィネスロッドの元祖と言える一本だった。
スコーピオンXT時代の6フィート2インチから、1インチ伸ばして6フィート3インチとしたのは、操作性や使いやすさのバランスを突き詰めた結果である。
そして今回、ワールドシャウラリミテッドとして生まれ変わることで、最高級素材を惜しみなく投入した究極のベイトフィネスロッドが完成した。
基本スペックを詳しく見る
まずは1631FF-3の基本スペックを確認しよう。
項目 | 仕様 |
---|---|
全長 | 6フィート3インチ (1.91m) |
継数 | 3本 |
仕舞寸法 | 130.0cm |
自重 | 115g |
先径 | 1.7mm |
テーパー | FF(ファストファースト) |
ルアーウェイト | 8-40g |
ジグウェイト | MAX 120g |
ナイロンライン | 6-20lb |
PEライン | MAX 2号 |
注目すべきは自重115gという軽量性である。
6フィート3インチという長さでありながら、この軽さを実現できたのは、シマノの最新技術の賜物と言える。
また、ルアーウェイト8-40gという幅広い対応範囲も魅力的だ。軽量なフィネスルアーから中量級のルアーまで、一本で幅広くカバーできる。
革新的な技術「スパイラルXコア」とは?
1631FF-3の性能を語る上で欠かせないのが、スパイラルXコア技術である。
スパイラルXコアは、ナノアロイテクノロジーにより実現した高強度樹脂を用いたカーボンテープを使用している。この技術により、一般的な構造との比較で驚異的な強度向上を実現した。
具体的な数値を見ると、その革新性がよく分かる。
- ネジリ強度:1.4倍
- つぶれ強度:2.5倍
さらに、従来のスパイラルXとの比較でも大幅な性能向上を果たしている。
- ネジリ強度:10%アップ
- つぶれ強度:15%アップ
これらの数値が示すのは、単なる軽量化ではなく、強度と軽量性を高次元で両立させた技術革新である。
ハイパワーXが生み出すシャープな操作性
ハイパワーXは、スパイラルXコアと組み合わせることで、1631FF-3の操作性を飛躍的に向上させている。
ハイパワーXは、カーボンテープをX状に締め上げることによりキャストやファイト時のねじれを抑える強化構造である。この技術により、キャスト時やファイト時に発生するネジレ現象を効果的に抑制する。
実際の釣りにおいて、この技術がもたらすメリットは計り知れない。
キャスト時のブレが少なくなることで、狙ったポイントへの正確なキャストが可能になる。また、ファイト時のロッドのねじれが抑制されることで、魚の動きをダイレクトに感じ取ることができる。
特にフィネスな釣りにおいては、この繊細な感度が釣果を大きく左右する。
細身ブランクスが実現する高感度
ワールドシャウラリミテッドの大きな特徴の一つが、細身ブランクスである。
従来モデルよりも外径が細身でありながら、強度はしっかりとキープしている。この一見矛盾するような性能を実現できたのは、前述のスパイラルXコアとハイパワーXの技術があってこそである。
細身ブランクスがもたらすメリットは多岐にわたる。
まず、感度の向上が挙げられる。ブランクスが細くなることで、水中の情報がより鮮明にアングラーの手元に伝わってくる。ボトムの変化、ストラクチャーの存在、そして魚のバイトまで、すべてがクリアに感じ取れる。
次に、操作性の向上である。細身のブランクスは空気抵抗が少なく、キャスト時の振り抜きが格段に良くなる。特に一日中キャストを繰り返すような釣りにおいては、この差は疲労度に大きく影響する。
さらに、金属的な張りを味わえるのも特徴的だ。この張りは、ルアーの動きをダイレクトに伝え、思い通りのアクションを演出することを可能にする。
エクステンションバットで広がる可能性
1631FF-3の汎用性を語る上で欠かせないのが、エクステンションバットの存在である。
エクステンションバットを装着することで、このロッドは全く別の性格を持つロッドに変貌する。特に鯛ラバにおいては、まさにドンピシャなロッドとなる。
鯛ラバは、ロッドの長さとバランスが釣果に直結する釣法である。エクステンションバットにより適切な長さを確保することで、鯛ラバ特有のフォールアクションを効果的に演出できる。
また、100g以下程度のライトジギングにも使い勝手が非常に良い。近年人気が高まっているライトジギングにおいて、1631FF-3は理想的な性能を発揮する。
ジグの操作性とファイト時のパワーを両立させた設計は、ライトジギング入門者からベテランまで幅広く満足させる仕上がりとなっている。
バスフィッシングでの真価
1631FF-3の本領は、やはりバスフィッシングで発揮される。
特にフィネスベイトでの実績は群を抜いている。軽めのシャッドやミノーを駆使できる操作性は、プレッシャーの高いフィールドでこそ真価を発揮する。
現代のバスフィッシングにおいて、フィネスな釣りの重要性はますます高まっている。スレたバスに対しては、繊細なアプローチが不可欠である。
1631FF-3は、そうした状況において理想的な性能を提供する。
軽量ルアーの操作性とデカバスと渡り合うパワーを両立させた設計は、まさにベイトフィネスロッドの理想形と言える。
ティップの繊細さがルアーの微細な動きを演出し、バットのパワーが大型魚とのファイトを制する。この絶妙なバランスこそが、1631FF-3の最大の魅力である。
ソルトウォーターでの活躍
1631FF-3の魅力は、淡水だけにとどまらない。
ソルトウォーターにおいても、その汎用性の高さを遺憾なく発揮する。
まず、シーバスでの使用が挙げられる。都市型河川でのシーバスゲームにおいて、1631FF-3の操作性と感度は大きなアドバンテージとなる。
シーバスは非常に警戒心が強い魚である。特に都市部の河川では、プレッシャーが高く、繊細なアプローチが求められる。1631FF-3の高感度ティップは、シーバスの微細なバイトも確実にキャッチする。
また、ライトジギングでの性能も特筆すべきものがある。100g以下のジグを使用するライトジギングにおいて、1631FF-3は理想的なロッドワークを可能にする。
ジグの操作に必要な繊細なティップワークと、魚とのファイトに必要なバットパワーを高次元で両立させている。
さらに、前述の鯛ラバでの性能も見逃せない。エクステンションバットとの組み合わせにより、鯛ラバ専用ロッドに匹敵する性能を発揮する。
トラウトフィッシングでの可能性
トラウトフィッシングにおいても、1631FF-3は新たな可能性を提示する。
エリアトラウトでは、その繊細な操作性が威力を発揮する。スプーンやクランクベイトの微細なアクション調整が可能で、スレたトラウトに対しても効果的なアプローチができる。
また、本流トラウトにおいても、その汎用性の高さが光る。中型のスプーンやミノーを使用した本流でのトラウトゲームにおいて、1631FF-3は理想的な性能を提供する。
本流の流れの中でルアーをコントロールする技術と、大型トラウトとのファイトに必要なパワーを両立させた設計は、本流トラウトアングラーにとって魅力的な選択肢となる。
最高級素材へのこだわり
ワールドシャウラリミテッドシリーズの特徴の一つが、最高級素材への徹底的なこだわりである。
グリップには最高級コルクを使用している。このコルクは、単に見た目が美しいだけでなく、実用性も兼ね備えている。
コルクの質感は、長時間の釣りにおいても手に馴染み、疲労を軽減する効果がある。また、濡れた手でも滑りにくく、安全性の面でも優れている。
リールシートには、STELLAと同じ冷間鍛造で生まれたつなぎ目の無いリールシートを採用している。この技術により、パワーファイト時に痛みを感じないベイトリールシート構造を実現している。
冷間鍛造技術は、金属を常温で加工する高度な技術である。この技術により、継ぎ目のない一体構造のリールシートが完成し、強度と美しさを両立している。
これらの最高級素材の採用により、1631FF-3は単なる釣り道具を超えた、工芸品としての価値も持っている。
スコーピオンXTとの比較
1631FF-3を理解する上で、その原型となったスコーピオンXTとの比較は欠かせない。
項目 | スコーピオンXT 1631FF | ワールドシャウラLTD 1631FF-3 |
---|---|---|
ブランクス技術 | ハイパワーX | スパイラルXコア + ハイパワーX |
グリップ | 標準コルク | 最高級コルク |
リールシート | 標準仕様 | 冷間鍛造(STELLA同等) |
価格帯 | 約30,000円 | 約90,000円 |
継数 | 2本 | 3本 |
この比較表からも分かるように、ワールドシャウラリミテッドは、スコーピオンXTの基本コンセプトを受け継ぎながら、あらゆる面で大幅な進化を遂げている。
特に注目すべきは、ブランクス技術の進歩である。スコーピオンXTのハイパワーXに加えて、スパイラルXコアを採用することで、強度と感度を飛躍的に向上させている。
また、3本継ぎという仕様も見逃せない。携帯性が大幅に向上し、遠征や電車釣行においても大きなメリットとなる。
価格に見合う価値があるか?
1631FF-3の定価は99,000円(税抜)である。
この価格を高いと感じるアングラーも多いだろう。しかし、その価値を多角的に検証してみよう。
まず、技術的価値である。スパイラルXコアとハイパワーXの組み合わせは、シマノの最新技術の結晶である。この技術により実現された性能は、他のロッドでは得られない独自のものである。
次に、素材的価値である。最高級コルクグリップや冷間鍛造リールシートなど、使用されている素材はすべて最高級品である。これらの素材は、単に高価なだけでなく、実用性も兼ね備えている。
さらに、汎用性の価値も考慮すべきである。1631FF-3は、バス、トラウト、シーバス、ライトジギング、鯛ラバと、幅広い釣種に対応できる。
これらの釣種それぞれに専用ロッドを揃えることを考えれば、1本で多くの釣りをカバーできる1631FF-3の価値は計り知れない。
また、耐久性も重要な要素である。最高級素材と最新技術により作られた1631FF-3は、長期間にわたって高い性能を維持することが期待できる。
ユーザーの評価と実釣インプレッション
実際のユーザーからの評価を見ると、1631FF-3の実力がよく分かる。
総合評価は4.6/5という高い数値を記録している。これは15件のレビューに基づく評価であり、ユーザーの満足度の高さを物語っている。
特に評価が高いのは、幅広い用途への対応力である。「何でもいける」「これ一本でいい」といった声が多く聞かれる。
バスフィッシングにおいては、「フィネスベイトでの高い実績」が評価されている。軽量ルアーの操作性と大型魚とのファイト性能を両立させた設計が、多くのアングラーに支持されている。
ソルトウォーターでの使用においても、「シーバスからライトジギングまで対応」という汎用性が高く評価されている。
一方で、価格に関しては賛否が分かれている。「価格に見合う性能」と評価する声がある一方で、「高すぎる」という意見も存在する。
しかし、実際に使用したアングラーの多くは、その性能に満足しており、「買って良かった」という声が圧倒的に多い。
メンテナンスと注意点
1631FF-3を長く愛用するためには、適切なメンテナンスが欠かせない。
まず、使用後の水洗いは必須である。特にソルトウォーターで使用した場合は、塩分を完全に除去することが重要である。
ガイドリングの清掃も重要である。ラインの通りを良くするため、定期的にガイドリングを清掃し、傷がないかチェックする必要がある。
コルクグリップの手入れも忘れてはならない。最高級コルクを使用しているため、適切な手入れにより長期間美しい状態を保つことができる。
また、保管方法にも注意が必要である。直射日光を避け、湿度の低い場所で保管することが推奨される。
3本継ぎという構造上、継ぎ部分の手入れも重要である。継ぎ部分に汚れが蓄積すると、組み立て時に問題が生じる可能性がある。
購入を検討する際のポイント
1631FF-3の購入を検討している方に向けて、重要なポイントをまとめよう。
まず、使用目的の明確化が重要である。1631FF-3は汎用性が高いロッドだが、すべての釣りに最適というわけではない。
フィネスな釣りを中心に、複数の釣種を楽しみたいアングラーには最適である。一方で、特定の釣種に特化した性能を求める場合は、専用ロッドの方が適している場合もある。
次に、予算との兼ね合いである。約10万円という価格は決して安くない。しかし、その価値を理解し、長期間使用することを前提とすれば、決して高い買い物ではない。
また、リールとの組み合わせも重要である。1631FF-3の性能を最大限に引き出すためには、相応のリールが必要である。
最後に、実際に手に取ってみることを強く推奨する。ロッドは個人の感覚に大きく左右される道具である。可能であれば、実際に手に取って、その感触を確かめることが重要である。
まとめ:究極のバーサタイルロッド
シマノ 23 ワールドシャウラ リミテッド 1631FF-3は、まさに究極のバーサタイルロッドと呼ぶにふさわしい一本である。
スパイラルXコアとハイパワーXの組み合わせにより実現された高強度と軽量性、最高級素材による上質な仕上がり、そして幅広い釣種への対応力。
これらすべてが高次元で融合した結果、他に類を見ない性能を持つロッドが誕生した。
確かに価格は高い。しかし、その価値を理解し、長期間にわたって様々な釣りを楽しみたいアングラーにとって、1631FF-3は最高の相棒となるだろう。
ベイトフィネスロッドの元祖から進化を続け、ついに到達した究極の形。それが、ワールドシャウラ リミテッド 1631FF-3である。
2025年6月下旬の発売が待ち遠しい、注目の一本と言えるだろう。